大いなる飛躍へとつながる貴重な一歩
〜春季大会総括〜 2005/04/09





 4月に入ると同時に始まりました春季大会、学院は残念ながら6日 (水)の3回戦で八王子高校に敗れてしまいました。個人的に八王子 高校は、学院の監督をしていた大学3年時(平成2年)の夏の大会で、 当時自信を持って臨みながら初戦敗退を喫した何とも苦々しい相手 だっただけに、今回はぜひとも雪辱を果たしてほしいと切に願って おりました。しかしそんな思いは通じず、その夏と同じ3点差(当時 は2−5)でまたしても苦杯をなめました。

 とまあ、個人的な傷心話は置いておきまして、この3試合で得た もの、または課題として残ったもの、等々を総評で述べさせてもら います。

 まずは投手力。今大会ベンチ入りした投手陣は3人。試合間隔が ある程度余裕がある春ということもあり、首脳陣はこれで十分と判 断したようです。ただ、昨秋から比べて成長の跡を感じさせる場面 がある一方で、3試合すべて初回に失点するという、自ら苦しむ展 開にしてしまいました。共通点はいずれも無駄な四球が絡んでいる こと。特に初回の四球というのはバックで守る守備陣に多大な悪影 響をもたらします。もっと言えばピッチャー自身が自分の立ち上が りに不安を持ち、それが相手に伝わることでますます相手を利して しまう、全く無意味です。それでも3回戦の八王子戦ですら、大量 失点を喫することはなく全体的な底上げが出来ていることも間違い ありません。夏に向けては愚直ながら、1球1球意識した投げ込みと、 走り込み、そしてフォーム固めが不可欠。しかし、今回ベンチ漏れ した選手の中にも夏への期待すべき逸材がいると首脳陣は内緒で 教えてくれましたので、ぜひとも3ヶ月後を楽しみにしましょう。

 続いて攻撃力。相手投手は初戦が左腕で、2回戦、3回戦はともに 右腕でしたが、決してどの投手も豪速球を放るわけでもなく、ある 程度制球は良かったものの崩せぬ対応ではありませんでした。でも、 3試合ともに打線にエンジンがかかったのは中盤以降と、後ろで見て いて物足りなさは正直残りました。まだ今年に入って実戦の経験が 各選手少ないこともあるでしょうが、スイングスピードが遅いと感 じたのは私だけではないはずです。もっともっとこれも愚直に振っ て振って、いかに打つポイントを自分の身体に近づけられるか、大 いに勝負です。その証拠に、今大会はハーフスイングでの空振りが 目立ちました。ボールを見極める上でも、スイングの速さが左右し ますからこれからしっかりと各打者が自覚して欲しいものです。 とはいえ、佐藤翔君や新納君、門多君ら主軸選手は力を持っていて うまく精神面のコントロールや、スイングチェックを怠りなければ 夏の学院打線はダイナマイトに変身することも大ありです。

 最後に守備力。秋にもお伝えしましたが、内野陣の能力は実に高 いものがあります。レギュラーには2年生が名を連ねていますが、 3年生も十分に資質があり、このあとの3ヶ月間は熾烈な争いが起こり そうです。特に肩の強さは、3試合戦ってもどこにも引けを取りませ んでした。ボール回し一つ取ってみましてもそれは歴然で、あとは ちょっとした雑なプレーによるミスを徹底的になくしていくことに 集中すべきです。外野陣は、こちらも無難な守備をこなしてはいま したが、初戦での強風時や相手打者の構え、力を勘案した守備位置 にまだ気が足りません。幸い大ミスをする場面はなかったものの、 試合展開等々によって逐一ポジショニングを考えるのも優秀な選手 の為せる技ですから、もっともっと野球を勉強してもらわねばなり ません。いずれにしましても、このチームが近年でもレベルが高い と感じるのはやはりディフェンスがしっかりしているところにあり ます。投手力がさらに向上し、バックも一層磨きがかかればどこを 相手にしても失点は計算の範囲内で収まり、ひいては負けない野球 につながります。

 今大会で見えたいくつかの点を、例によって個人的な考えも踏まえ 書き連ねさせていただきました。夏までにしっかりと鍛錬すれば本当 に飛躍することは確実です。一方で、どこか気が緩み、目標を見失っ てしまえばこれまでの歴史を繰り返すことも大いにありえるわけでそ ういう意味でも今後首脳陣の采配を楽しみにしたいところです。今大 会も、お忙しい中球場に駆けつけ、選手に熱い声援を送っていただき ました多くのOB、並びに関係者の皆様、またメール等で常に応援して いただいたOBの皆様、本当にありがとうございました。シード権こそ 確保なりませんでしたが、選手達はこの3試合で大きな成長に発展する きっかけを掴んでいます。どうかこの先も温かく、かつ厳しく、お見 守り続けていただけたら幸いです。


2005.04.09
(文責:広崎正隆 S63卒)