2005夏 初戦観戦記 2005/07/15




 連日猛暑が続いていますが、学院の初戦14日は朝から曇り空で 暑さも凌げ、選手達にとってはやりやすいコンディションだった と思います。

 さて、すでに皆さんご承知の通り、その初戦は12-2の5回コール ドで国際基督教大高(ICU)を撃破しました。好調な打線が初回から 猛打爆発し、1塁側スタンドは「紺碧の空」の大合唱!甲子園に向 け、最高のスタートを切れました。なかでも、相手に先制された 直後すぐさま同点にしてなおも一死1、2塁、ここで5番に起用され た仁村選手が左中間をあっという間に抜けていく痛烈な打球を放っ てランニングホームランとなったシーン、非常に圧巻でした。この 一打が、試合を決定づけたといって過言ではありません。松本監督 も試合後、「あの場面で仁村がしっかり打ってくれたので助かった。 もし(ヒットが)出てなければひょっとしたら結構てこずる展開にな っていたかもしれない」と、値千金だったことを率直に語ってくれ ました。そしてまた、打ったのが3年生の仁村選手だったことに、 個人的には大きな意味があると考えています。1年生で入部してきた ときから期待され続けてきたもののなかなか結果を出すことが出来 ず、正直苦しい高校野球生活を彼は送ってきたはずです。最後とな る今大会もシングルナンバーは後輩に渡り、内心忸怩たる思いがあ ったことでしょう。でもその最後の最後で、遂に彼は大輪の花を咲 かすことが出来たわけです。2年生主体のチームで3年生の存在感が 今ひとつという中にあって、やはり3年生が活躍することはチーム 内での意地もあるでしょうし、それ以上に彼にとっての集大成を示 すラストチャンスですから無我夢中かもしれません。いずれにして も、次の打席でもレフト線にツーベースを打ち、スタンドで見てい て胸にジーンと来るものがあったのは決して私だけではなかったで しょう。次戦も期待したいものです。

 この他にも、3番の佐藤(翔)選手、同じく3年生ですが、彼も1年生 のとき大活躍したにもかかわらず、2年3年と上がるにつれ公式戦で 伸び悩んだ一人です。しかしその彼も久しぶりに快音を聞かせてく れました。センスはもともと図抜けていただけに、佐藤選手の復活 は今後の戦いにおいて何とも心強いものと言えます。加えて4番を任 されている2年生の門多選手が引き続き好調を維持しており、学院ク リーンアップトリオはそろい踏みの一戦でありました。

 一方守備面では、先発した前田投手がコントロール重視にしたから か、球威が今ひとつではあったものの無駄な四球は与えず、また2回 表の満塁機も内野ゴロでしっかりダブルプレーに切って取るなど、成 長の跡を見せてくれました。ただあえて苦言を呈するならば、もう少 し配球に工夫を見せてほしかったものです。相手が直球狙いであった ところへおあつらえ向きの直球を投げれば打たれるのも当たり前。2 失点も正直言えばやらずもがなでした。先発した玉地捕手ともども、 もっともっと頭を使った野球を心がけるべきでしょう。それに引き替 え、内野陣は戦前の予想通り手堅い動きをしていました。特に一死満 塁でのサードゴロ、通常ならば5-2-3といくところ、ためらうことなく 5-4-3と後ろでダブルプレーを成立させました。これにはちょっと唖然、 よほど自信があるのか日頃から鍛えられている様を見せてくれた一瞬 でした。そして、5回の1イニングだけ登板した今大会注目の1年生新井 投手、評判に違わず落ち着いたマウンド捌きはとても1年生とは思えな いくらいで、今後の試合のみならず、来年、再来年へと大いに希望が 持てる内容でした。

 ということで、初戦は学院の良い面が数多く見られました。近年では なかなかない好スタートです。いよいよ本日は3回戦、春も対戦した都 中野工業との試合です。春から実力が大幅にアップしたところを同じ 相手に見せつけてやってほしいと願うばかりです。どうか皆様、ぜひ 上柚木球場に足を運んで応援してあげてください。


2005.07.15
(文責:広崎正隆 S63卒)