2006春季大会 四回戦観戦記&大会総括
〜四回戦日大三高との決戦を終えて〜 2006/04/12





 20年ぶりとなる公式戦での日大三高戦、その一戦はこの夏のシード 権を決する大事な試合、いやが上にも盛り上がり、オールド学院OBと なればなるほど気持ちは高鳴ったはずです。朝から大勢の皆様に大田 スタジアムにお集まり頂き、そして最後まで熱い声援を選手に送って 頂いて、本当にありがとうございました。

 試合は残念ながら6-10で敗れはしましたが、押しも押されもせぬ 全国クラスの日大三高相手に学院は全く引けを取りませんでした。 昨秋は初戦の国士舘戦でコールド負けを喫したチームが、一冬越して ビッグネームと肩を並べる試合が出来たことは大いに自信になった でしょうし、すぐに迎える夏の大会でも勢いを持続させられると 思います。

 実際試合内容は、初回から積極的な攻撃でチャンスを作って早々 に先制点を挙げるなど、理想的な展開となりました。序盤は確実に 学院優勢の流れで進み、「やはり同じ高校生じゃないか」「歴史を 変えるのでは!」との期待感を与えてくれました。ただ過去4戦と 明らかに格が違う相手、点を取れる場面で一気に畳みかけられなか ったことが最後はうっちゃられてしまった要因と言えます。顕著だ ったのが4回裏の攻撃、2点取って3-1となり、なおも相手守備の乱 れもあって満塁と絶好機に中途半端な三振に終わってしまった・・・ 中盤だけに試合を決定づけられるところで勝負強さを発揮出来ない のは、もちろん相手の粘りもさることながら精神的なひ弱さが依然 垣間見える証とも言えます。

 一方投手陣は、先発した玉地投手の踏ん張りが見事でした。日大 三高の強力打線にも真っ向勝負を挑み、次々押さえ込みました。 終盤捕まってしまいましたが、やはりインコースを堂々と突いて 攻めの投球をすることこそ強力打線を封じ込める術であるという、 いいお手本となったはずです。これを糧に夏までさらなる成長を遂 げてほしいものです。

 今大会、予選も含めますと5試合経験したわけですが、全体の印象 として個々の選手のレベルの高さが見て取れました。特に攻撃面では 5試合で52得点と、1試合平均で10点以上叩き出しています。いずれ の対戦チームもそれなりにしっかりしたところばかりでしたから、 この数字は素直に評価して構わないでしょう。日大三高戦でもヒット 数だけなら13本対11本で打ち勝っています。近年打力は向上してきて いるものの、春の段階からここまで爆発的な力を持った代はいません でした。

 ただ、与えた得点も5試合で30点に上り、バッテリーには大いに反省 してもらわなければなりません。不用意な四死球、それも先頭打者を 平気で出してしまう場面が多々見られました。四球というのはヒット 以上に守っている者のリズムを狂わせ、かつ相手を活気付かせてしまう だけに絶対に出してはいけない、投手陣にはこのことを肝に銘じさせる べきです。その一方で、特に走者を背負ってのエラーや拙い中継プレー もいくつか見受けられました。内外野は何があっても自分への打球は 正確に処理して相手の進塁、得点は許さないんだという気概を持ち、 日々の練習にも励まなければなりません。それが果たして大会前出来て いただろうか、出来ていればきっと結果は違ったはずです。練習で出来 ないことが試合で出来るはずがない、当たり前のことですが、守備練習 は非常に地味とはいえ、一つ一つ基本を身につけて確実性をもっと向上 させてほしいと思います。

 しかし、それにも増して今大会一番気になったのが走塁。これまでも 何度も観戦記で報告しました通り、走塁は単に打ったら走ると漫然に考 えているのではないかと疑ってしまうような選手が大勢います。リード の取り方一つで相手投手の心理状態、リズムを乱すことが出来るし、牽 制を投げさせればそれだけ暴投の確率も高まり、うまくすれば労せず 進塁も出来る、なにより点取りゲームに於いては少しでも本塁に近づき、 陥れなければならないわけですから、自ずとランナーになったときの心 構えは決まってくるものです。日大三高はもちろんのこと、豊南や、 都日野などの選手は皆出塁すれば最大限のリードを取って学院投手陣に プレッシャーを与え続けていました。なぜ、この逆のことをやり返そう としないのか、首を傾げてしまいます。オーバーランでも次の塁を狙う ものなのか、単なる余力的なものかで相手の守備陣に全く違う印象を植 え付けます。

 走塁については書き出すと止まらないためこの程度にしておきますが、 走塁やバントなどの機動力、守備でも配球や牽制、サインプレー、カバー プレーなどを駆使することで、野球は9人の点と点が線でつながり、最後 は大きな面となるスポーツです。それがまさしく総合力であり、西東京 を制するための必要不可欠な条件でもあります。個々の選手の力量が高 いだけに、今大会で見えた課題をこれから3ヶ月で克服し、全国レベルに まで飛躍してもらいたいと思います。

 ただ、選手達は日大三高に敗れて泣いていました。涙は夏のものと 思われていた中で春にこうした貴重な経験が出来、自分たちの力不足を 痛感したのは本当に大きいです。このチームは何かをやってくれる、 以前そういったことを書いた記憶がありますが、期待が一層膨らんだ 大会となったことには間違いありません。今大会も多くの方にご支援 頂いたこと、この場で改めて感謝申し上げます。皆様お一人お一人の 熱視線が選手達には非常にいい刺激となりますので、どうかこれから も学院野球部を見守り続けて頂ければ幸いです。よろしくお願いします。


2006.04.12
(文責:広崎正隆 S63卒)