2006夏 甲子園への道
〜初戦vs中大杉並 観戦記〜 2006/07/12





 どんよりと厚い雲に覆われ、いつ雨が降り出すか分からないと いった不安定な天気で迎えた学院の初戦。それでも上柚木球場は 両校の関係者で試合前から熱気に包まれていました。

 前夜の雨でグランドコンディションが悪かったため試合前の シートノックはなく、主力の3年生にとっては少々不安なスタート となったに違いありません。おまけに学院は現在期末試験の 真っ只中、ただでさえ直前練習が満足いかないだけにどういう序盤 になるのか、スタンドも固唾を飲んで見守る中、試合は始まりました。 学院は後攻、初回をなんとか無難に守り切ってほしい、しかしそんな 願いもむなしくエースの玉地投手、先頭打者に2-3から四球を与える 嫌な立ち上がり。結局先制点を失ってしまいました。その後も上ずり 気味の投球内容をなかなか修正出来ず、毎回走者を背負う苦しい 展開に。特に味方が点を取った直後のイニングはピシャリと押さえて 欲しいものですが、そこでも制球が今ひとつで、やはり試験中で仕上 がりが中途半端な弊害が出た形です。春の大会で日大三高打線を中盤 まで押さえ込んだときのような切れが次戦には戻ってきてもらわねば なりません。

 リリーフ陣にも同様のことが言えます。大会直前に実戦経験を 積めないためにどうしても腕の振りが鈍く、打者との駆け引きも曖昧で 先頭打者に四球を与えることもしばしば。ただ、中軸ならともかく、 下位打線にまで余計な四球を与えたことは反省材料です。自ら苦しむ 展開に持ち込んだのであり、6-4の接戦に冷や汗流したのも自業自得、 偏に投手陣は同じ過ちを繰り返さないように残り1週間で調整して もらいたいものです。

 一方、打線については、なんと8イニングで残塁15。相変わらず 雑な攻めというのか、決定打が出ないというのか、チャンスをこと ごとく潰してしまう展開でした。ただそんな中でも先制された初回 裏の攻撃で、相手先発の左腕エースの乱調にうまくつけ込み逆転に 成功したあたりは、このチームの潜在力も感じさせられました。 仮に、早々に逆転していなかったら・・・嫌な想像ですがもしかすると ずるずるといっていたかもしれません。逆転のセンターオーバーの 3塁打を放った見村選手、彼は結局8回にも、なかなか取れなかった 追加点となるタイムリー2塁打を放ち活躍しましたが、4回裏の一死 2、3塁の絶好機では凡退するなど、せっかく非凡なセンスを持って いるのですからもっともっと大活躍してもらいたいものです。

 見村選手以外の学院打線ですが、この日は不快指数が異様に 高かった天気同様、かなり湿っておりました。生きた球を打つ練習が 少ないのも大きな理由でしょう。打線は水物ですし、そういう環境 でも6点取ったのでよしとする向きもあります。しかし、何も野球は ヒットでしか点が入らないわけではないということも、甲子園という 大きな目標を掲げる以上、個々の選手は頭に入れておかねばなり ません。特に3回裏の攻撃で、先発左腕を引きずり下ろした直後、 2番手で出てきたこれまた左腕で右足が1塁側にかなり踏み出す変則 サイドスロー投手に対し、どう見てもストライクを取るのが精一杯 であることが分かるはずなのに、案の定代わりっぱな先頭が四球で 出塁して二死満塁と押せ押せの状況で、2番の安江選手は簡単に初球 打ちしてピッチャーゴロチェンジ。序盤の決定的な勝負所を逸して しまいました。その後この変則投手に翻弄され、8回の追加点まで 苦しむことになりました。きっと相手監督はこの変則左腕を先発 させていればと後悔していることでしょう。それくらい、学院には 工夫がなかったということです。6回裏にも四球2つもあってもらった 二死満塁のチャンス、代打小澤選手がやはり簡単にライトフライを 打ち上げ物に出来ませんでした。2回戦を前にもう少し練習で打ち 込んで勘を取り戻してもらうとともに、首脳陣も含めて野球の戦術を 再確認してもらいたいところです。

 この他、守備と走塁については、まずまず合格点でした。特に初回、 相手に先制を許した後の一死1、2塁のピンチでも動じず、3塁ゴロを 確実にベース踏んで1塁送球ゲッツーで最少失点に抑えたことや、 その後も幾度となく走者を得点圏に背負いながらも再三に渡る相手の バントミスにも助けられ凌ぎ切り、決定的な流れを渡しませんでした。 もっとも、当たり前のように先頭打者を出してしまう投手陣には 不甲斐なさを感じますが、内野手の動きは大方安定していたと言えます。 細かいことで言えば外野手からの返球が良くなかったり、フライの捕球 の際にドキッとする場面もありましたが、少なくとも野手が足を引っ 張って失点することもなく、これも試験が終わってもっと全体練習出来て いけばますます完成度は高まるはずです。走塁も、春の反省が生きて、 皆常に次の塁を狙う姿勢が出ていました。スランプのない足は長い 大会において必ずチームを救うことになりますので、積極走塁(暴走 ではない)はいつも心掛けるべきです。

 9日は思ったほどOBの観戦が少なかったようです。皆さん、如何 されましたか?16日も日曜日ですし、もっと球場にお集まり頂き、 後輩の勇姿に声援を送って頂ければと思います。実況中継も当然 行いますが、やはりご自身の目で直接ご覧になって、臨場感も味 わってもらう方がより熱が入るはずです。次は昭島球場で12時半 試合開始予定ですので、初戦以上の盛り上がりに期待致します。 よろしくお願いします。


2006.07.12
(文責:広崎正隆 S63卒)