2007秋季大会展望 〜主力が残り戦力充実、いざ出陣!〜 2007/09/12




 思いもよらなかった夏の初戦敗退から1ヶ月半、吉原範明選手を新主将に据え チームはどんな成長を遂げたであろうか、OBならずとも学院関係者にとっては 非常に関心あることと思います。その新チーム、8月中は恒例となった仙台遠征や 夏合宿を精力的にこなしました。技術面の向上は当然ながら、精神的にも逞しさを 身に付けて来ました。もともと素質、能力的に恵まれている2年生、1年生だけに あとは体の奥底から沸いて出てくる気迫や根性が備われば“鬼に金棒”、まさに 怖いものなしです。秋の大会に向け、順調に調整が進んでいます。

 特に成長著しいのが投手陣。経験豊富な不動のエース、鶴谷投手が新チーム後の 練習試合でも安定感を増す一方で、1年生のニューフェースが次々頭角を現すなど、 チーム内競争は学年を問わず激しくなるばかりです。これまでも好投手のいた時代は 多々ありましたが、秋季大会では期待されながらも自滅して終わってしまうことが 度々でした。どうしてか理由は至って簡単で、秋の段階では実戦経験が乏しいこと、 さらには実際に起用できる投手のコマ数が足りずに内部での競争がなく、試合で劣勢 に立ったときに踏ん張りが利かないからです。それがこの新チームに限っては解消され ています。今春から実質主戦として活躍している鶴谷投手が精神的支えとなり、他の 投手陣がのびのびと、かつ鶴谷投手を追い付き追い越せとばかりに切磋琢磨し、自ず と全体の底上げにつながっています。首脳陣がどういった投手起用をするのか、スタン ドでは興味が尽きません。

 一方、攻撃面では、前チームから4番を任されていた吉原新主将の存在が非常に 大きいと言えます。夏の八王子実践戦でも打球の速さは目を見張るものがあり、観戦 された方の脳裏にもしっかり焼き付いていることと思います。夏の段階では早いカウ ントで放られてくる甘いカーブやスライダーを簡単に見逃してしまい、最後は難しい 球に手を出して打ち取られるという思い切りに欠ける場面もありましたが、その点も 主将となるやチームを引っ張る責任感からか消え、豪快さはそのままに積極性が出て きて成長し続けています。この吉原主将の前後を打つクリーンアップも夏から主力の 伊藤選手らががっちりと固め、一度火が付けば手の付けられない打線であることは ぜひ直接東海大菅生グランドで確かめて頂きたいところです。課題を挙げるとすれば バントと走塁でしょうか。夏の大会はバントをほとんどせず強攻策で通し失敗した ことは否めません。その反省から手堅く次の塁に走者を進める練習も積んでおり、 試合で成果が確実に現れればもともと破壊力のある打線だけに相手には脅威となるに 違いありません。加えて毎年のことではありますが、常に先の塁を目指す抜け目ない 走塁を心がければ、現時点で比較的完成度の高い今年のチームにとっては死角なしと 言っても過言ではないでしょう。

 今回のブロックは、決勝で当たるであろう東海大菅生まではすべて都立との対戦 で、決して油断するわけではありませんが例年よりは多少楽な組み合わせと見られます。 初戦の都武蔵、2回戦の都足立西に勝って来年の春季大会出場権を得ますが、今年の 戦力を持ってすればそんなレベルの話ではなく、昭和48年に進出して以来途絶えて いる本大会への出場を果たすことがまずは目標です。この間、決勝までは行くものの どうしても壁を破れない時期が続いています。学院が本当に甲子園を見据えるので あれば、各校とも未完成なこの秋こそ実績を作り、うまくいけば来春の選抜出場、 そうでなくとも他の強豪校に対し強く学院を印象づける戦いをすることが望まれ ます。繰り返されてきた失敗を乗り越え、いよいよ学院が長く長く続いたトンネルを 抜け出し、全国にその名を轟かす時代がやってきたと信じております。いつにも 増して、皆様の熱い熱いご声援を心からご期待申し上げます。



2007.09.12
(文責:広崎正隆 S63卒)