2009夏 初戦(vs啓明学園)観戦記
〜学院無難な船出にも課題あり〜 2009/07/16





 暑い!暑い!今年一番の暑さを記録した16日、いよいよ学院の“夏”が 開幕しました。一昨日まで期末試験があったため全体練習は十分とは言え ませんが、それでも意識の高い選手が揃っているだけに期待は募るばかり。 相手の啓明学園に関する情報はほとんどありませんでしたが、全力でかか れば必ずや道は開ける、そう信じた通り選手達はしっかりと戦ってくれま した。

 その大事な初戦を託されたのは杉山投手。前号の展望にも書きましたが、 大野投手と両輪のエース格。誰もが緊張に震える立ち上がりですが、杉山 投手は先頭、2番打者を連続三振に斬って取る素晴らしい内容でバックの 守備陣はもちろん、ベンチやスタンドの仲間、そして応援されている関係 者全員を安心させてくれました。初回を三者凡退に抑えいい形で攻撃に 臨む、理想的な展開です。

 その裏学院の攻撃では、切り込み隊長を任された富岡選手が積極的に ファーストストライクを強打、ショートの頭上を越すセンター前ヒット で出塁し相手を揺さぶります。しかもすかさず盗塁、おそらく先発した 背番号11番の投手はマウンド上で頭が真っ白になっていたと思います。 一死後、3番岸捕手のサードゴロをサードが悪送球、以降は四死球にワイ ルドピッチも重なりあっという間に6点というビッグイニングになりま した。この初回の表裏でほとんど勝負あり、あとは5回コールドに向けて きっちりとした守備、そして取れる場面での攻撃が出来るかどうかが 焦点となっていきました。

 まず、守備に関しては危なげありませんでした。ただ、啓明学園打線 が今ひとつバットが振れておらず痛打がないと思われたにもかかわらず、 序盤外野の位置取りが深かったりと、もう少し頭を使ってほしいと思う こともありました。とはいえ、試合前のシートノックでは非常に軽快な 動きを見せていましたので、前評判通り堅い守りと言って問題ないでし ょう。投手陣についてもこの試合では杉山(3回)−安田(1回)−大野(1回) とつないで試運転もこなし、3人とも大会の雰囲気には慣れたことと思い ます。そんな中気になるのが、全く無意味な四球。杉山投手も大野投手 も先頭打者に不用意に四球を与えるなど、力の差が歴然としているのに 疑問符の付く投球をする場面もありました。これから相手のレベルが 上がっていくわけですから、しっかり引き締めてもらいたいところです。

 一方、攻撃面では相手投手の乱れから大量得点をしましたが、果敢に 盗塁を仕掛けたことも圧勝した要因です。しかしながら、毎年苦言を呈 していますが、未だに次の塁を狙う、その延長で本塁を取るんだという 姿勢が弱いのも事実です。八王子球場はファールゾーンが広く、ワイル ドピッチがあれば1つ進塁は当たり前、如何にしてもう1つ進むか、その 意識が必要なのに気構えを見せてくれた選手はいませんでした。さらに、 せっかく長打を放っても頭からこれは2塁打とか3塁打とか決めつけてい るのか、中継プレーが乱れているのにボールの位置を確認しない、その ためもう1つ進めるのに進めず仕舞いということもありました。大勝に 掻き消されがちなことですが、接戦となれば間違いなく足が、走塁が ものをいうわけですから、今一度選手には意識の徹底を図ってもらわな ければなりません。

 勝って兜の緒を締めよ、まさにこの初戦の学院に言えることです。 試合をこなしながらミスをどんどん修正していく、これが本当に強い チームですから、次の2回戦までにさらなる成長を期待します。次は予定 では19日の日曜日です。熱射病などの観戦対策は大変ですが、暑いから 億劫などと仰らずどうか皆様、直接球場に足を運んで選手達にご自身の 言葉で激を飛ばしてあげて下さい。なお、今度は上柚木球場です。お間 違いないようにお気をつけ下さい。



2009.07.16
(文責:広崎正隆 S63卒)