繰り返される悲劇に終止符を
〜2009夏 総括〜 2009/08/11





 学院の“2009夏”はあまりにも早く、あっけなく終わりを告げました。 試合終了後ベンチ前で崩れ落ちた西竹選手、仲間に支えられて立ち上がるまで その時間は5分いや10分間だったでしょうか、学院応援団の涙を誘いました。 3年生、本当にお疲れ様でした。

 選手達は最後の最後まで必死に戦いました。決して油断したわけでも、 相手を甘くみていたわけでもありませんが、2回戦(7月19日)の私立武蔵 戦は最後まで歯車が噛み合わずに終わってしまった、そんな印象を受け ます。1回表に1点先制を許したその裏、1死一、二塁でセカンドライナ ーゲッツー、チャンスを潰してしまったのも、今から思えばこの試合 の大きな流れの1つだったのかもしれません。4回裏に今岡主将の一振り で逆転したのも束の間、5回表には先発の杉山投手からバトンタッチし た大野投手が打たれ同点に、6回にも集中打を浴びて再逆転されました。 最終回の攻撃は2死から大野投手が、投手にはご法度とも言えるヘッド スライディングを見せあと一歩まで追い詰めましたが結局5-6と、夏は 4年連続となる1点差負け。毎年期待されるにもかかわらず結果を残せ ない、ジレンマばかりが募ります。

 今大会は初戦の啓明学園戦もこの武蔵戦も、早め早めの選手交代が 目立ちました。選手起用については当然監督がその日の選手の状態を 勘案した上での判断ですから構いませんが、こと武蔵戦に関しては スタンドからも疑問の声が上がる交代があったのも事実です。追いか ける展開で4番田原選手に代打、さらには逆転打を放っている今岡主将 にも最終回に代打・・・相手投手が右サイドスローで左打者には有利 な状況でしたが、いずれも左から右打者に変えたこの選択は、不発に 終わった結果論を抜きにしても理解に苦しむものでした。“歯車の 狂い”は人為的だったと、あえて厳しく言っても過言ではありません。

 いずれにしましても、今年の代は春の大会からして不幸な登録ミス もあり、純粋に野球に専念出来る環境ではなかったことは否めません。 2人の学生コーチの存在がなければ、本当に彼らは目標ややり甲斐を 失っていたかもしれません。試合終了後、本来ならば3年生への労いの 言葉をかけるはずの最後のミーティングの場に監督の姿はありません でした。東京都高野連理事として他球場での業務があるからと早々に グランドを後にしたわけですが、指導者として教育者としてその行動 は許されるのか、甚だ疑問です。OB会としましても、一生懸命頑張って いる後輩達をしっかりバックアップしてあげられなかったことが悔し くて仕方ありません。

 近年質の高い選手が集まる学院野球部、しかしほとんどがその才能 を開花することなく引退してしまっています。こうした悲劇はどうす れば避けられるのでしょうか?今大会で栗山監督は部長専属に戻り、 再び松橋邦芳氏が監督に就任しました。新主将には岸捕手、副将に 玉置、中谷の両選手が選ばれ、新チームはすでに秋を見据えて恒例の 仙台遠征をこなし、まもなく合宿に入ります。しかしこうした日々の 積み重ねも、指導者が選手とどれだけ思いを共有し、哲学持って接す るかが大事であり、技術指導もさることながら最終的にはチーム内の 信頼関係こそが勝利への近道、悲劇を生みにくくする最大のポイント だと思います。全国に何人もいる優秀とされる指導者がどのような 指導方法を採っているのか、ぜひとも研究してほしいものです。

 敗戦から1週間と経たない7月25日、野球部主催の3年生を慰労する 納会が学院食堂にて開かれました。3年生達のさばさばした表情にホッ と安堵するも、一抹の寂しさを感じたことも偽りない事実です。今岡 主将を始め5〜6人は大学で野球を続ける考えで、OB会は引き続き彼ら を応援していきます。最後に、その今岡主将が挨拶で語った言葉を 紹介します。「今まで、応援ありがとうございました。最後は不甲斐 なく申し訳ない気持ちで一杯です。悔しくて悔しくて、この悔しさを バネに(高校野球を)続けられないことが悲しいです。自分は大学で この悔しさをぶつけたいと思っています。1、2年生には自分達が果た せなかったことをぜひやって下さい。この秋優勝してセンバツでも 優勝して、そして来年の夏優勝して下さい」“全国制覇!!日本一” “流した汗は嘘をつかない”神谷、海津の両学生コーチが選手達に 接してきた思いを3年生は間違いなく受け止めていたんだ、こう実感した 瞬間でした。3年生、ご苦労様でした。そして、今年も夢をありがとう。



2009.08.11
(文責:広崎正隆 S63卒)