2009秋総括
〜自滅、壊滅で本大会出場逃す〜 2009/10/04





 36年ぶりの秋季本大会出場を賭けた関東一高との一戦は、9月22日 (祝・火)午前10時から始まりました。関東一高打線を学院の主戦、 千葉投手がどこまで封じ込められるかが勝負の“鍵”でした。

 その千葉投手、前の試合の2回戦、芝高との対戦(20日)では、3-2 の辛勝ながら球威十分、変化球のキレや制球も抜群で1回戦に続き 完投しています。特に2回戦は勝てば来春の本大会出場権を確保する 大事な試合だっただけに、安定感の向上には見ている人を安心させた と思います。

 こうして迎えた決戦、どんな立ち上がりを見せてくれるか、学院 応援席の期待は高まるばかりでした。ところが、初回は何とか三者 凡退に斬ってとったものの、3番打者にはレフトポールの遥か上、 あわやホームランの大ファールを簡単に打たれ嫌な予感が…そして、 その不安は2回に早くも的中してしまいました。先頭の4番打者に カウント2-3から粘られ、結果甘く入った変化球を右中間破る2塁打 でピンチを招くと、その後は四死球を連発。立て続けに押し出しした 挙げ句、1番打者には満塁ホームランも打たれてこの回だけで7失点。 ボールが先行する苦しい投球内容でした。今大会は助監督としてベン チ入りした栗山部長は、「学院は過去2試合でさほど点を取れていな いから千葉も相手に点をやれないと慎重になったのだろう。それが 彼本来の思い切りの良さからくる制球力に影響したのだと思う」と、 関東一高打線を前に撃沈してしまった千葉投手を庇ってみせました。

 この言葉にある通り、学院は大会に入ってから安打は放ちながらも 点を取れない状況が続いていました。それが目に見えない心理的要因 として千葉投手を苦しめたことは否めません。しかしそれだからこそ、 この大事な試合では先制点を取ることが不可欠だったはずです。実は そのチャンスが、初回の学院の攻撃であったのです。相手も主戦、 左腕の白井投手が先発でしたが、立ち上がりいきなり先頭の中谷選手が レフト前ヒット、その後盗塁も絡めて一死3塁の絶好のチャンスを迎え ます。打順もクリーンアップとなり相手バッテリーは出鼻をくじかれ たか、警戒心も強まり明らかに調子に乗れませんでした。ところが、 ここで学院は何ら策もなく3、4番が打って出てともに凡退、貴重な 先制機を逃すどころか白井投手を立ち直らせてしまいました。その 後の展開は見るも無残。学院の攻撃は三者凡退が続き、守ってはバッテ リーエラーも相次いでしまって失点を重ね、一体いつ以来か分からない 5回コールド負け。5回表こそ0-11から意地を見せて二死後に2点を奪い ましたが、その裏きっちり犠牲フライを打たれて万事休す、サヨナラ コールドとなりました。

 秋はどこのチームも3年生が抜けたばかりの、まだまだ未成熟な状態の はずです。ですから、完成されたチーム同士の夏よりも番狂わせは 起きやすく、センバツに初出場校が多いのも頷けます。学院も、特に 今年の夏のように不本意ながら早々と敗れたときは新チームのスタート は早いわけで、意識の高い練習に取り組めば秋季大会で台風の目玉と なりうるのです。しかし、この3試合を見る限り、明確なチーム指針と 言いますかチームカラーは窺い知れず、漫然とした戦い方をしていた ように感じました。再三お伝えしている攻撃の戦術、戦略だけでなく、 リード含めた走塁もまだまだ関東一高クラスには及びません。「不思議 な勝ちはあっても不思議な負けはない」、早稲田大学野球部・應武監督 の言葉だと言うことですが実際その通りで、負けるには必ず理由や原因 があるはずです。徹底的に敗因を分析し、弱点の克服、さらには単に 打って走って守るという低次元の野球でなく、相手心理も踏まえた高等 な野球を勉強しどんな展開でも“負けない”チーム作りに取り組んでほ しいと思います。この冬のトレーニングに期待しましょう。



2009.10.04
(文責:広崎正隆 S63卒)