鮮やか木田采配!3年連続本大会出場!!
〜2010春季大会一次予選総括〜 2010/03/24





 木田監督(S50卒)になって初めての公式戦、春季大会一次予選が行われ、 その初戦(3月22日)、錦城学園戦は7-0の7回コールドで完勝しました。 初陣を飾った木田監督は、「我々がやってきた野球を最後までやれたと いうこと。これからも守りを固めて1点1点積み上げる戦いを心がけよう」 と、勝って気持ちが高ぶる選手達を前に淡々と、兜を引き締めるかの ように語っていました。

 そして、その言葉通り、翌日(23日)のブロック決勝戦では都墨田工業 を相手に2-1と1点差を守り抜き、見事3年連続となる本大会出場を決め ました。昨秋の大会で関東一高に屈辱的な5回コールド負けを喫した チームが、木田監督に代わってまさに生まれ変わったかのように自信に 満ちた試合運びでした!同じく昨秋の大会後に就任した小関助監督 (H21卒)も今大会が指導者として初のベンチ入りでしたが、「ブロック 決勝戦はベンチにいても鳥肌が立ちました。しっかり守備で流れを掴めた ので接戦を制することが出来ましたし、選手も守備の大切さを感じたと 思います。ただこれまでの試合は(木田監督が常に話す通り)通過点に 過ぎないので、今一度気を引き締めて本大会を戦い抜きます」と、 選手達の兄貴分的存在ながら非常に力のこもったコメントを寄せて くれました。

 まだ大会中ですので細かい戦力評はあえて致しませんが、主戦の 千葉投手は精神面が著しく成長を遂げています。初戦の錦城学園戦では 6回を被安打2と抑え込んだものの、決して本調子ではありませんでした。 実際5つも四死球を与え彼本来の持つ制球力からはほど遠く、どうなる ことかと不安もよぎりました。しかしそこからの踏ん張りこそが一冬 越した真骨頂だったと言えます。それは都墨田工業戦でも同様で、9回 を投げ切り6本の長短打を打たれましたが連打は許さず、相手の反撃の 芽を一つ一つ摘み取っていきました。去年までの千葉投手であれば、 おそらくはどこかのタイミングで崩れてしまっていたことでしょう。 調子は悪いなりにもゲームをしっかりと作る能力、これは自信の裏付け がなければ持ち得ません。本大会ではこの接戦の経験も生きるでしょう から、これからますます楽しみです。

 投手が1球1球気持ちを切らずに投げれば、当然バックのリズムも よくなるというもの。事実この2試合、何度もヒット性の打球を好捕! いや、好捕だけならこれまでもありますが、そこからダブルプレーに 持っていくというスーパープレーもやってのけてしまいます。都墨田 工業戦では4回、バッテリーエラーで同点にされた直後の一死1塁、 さらには1点リードで迎えた終盤7回の一死1、2塁、いずれも試合の 行方を大きく左右する場面で外野に抜けそうな打球をダイビング キャッチ、あっという間にダブルプレーとし相手の勢いを完全に断ち 切りました。今までの学院野球であれば接戦に弱く、どうしてもこう した緊張する状況でミスをしがちでしたが、強豪校である都墨田工業 に1点差で勝利するにはそれだけの内容が伴っています。1点の壁と いうのはわずかなようで実は非常に大きな差であるということはこれ まで何度も指摘してきたところですが、ようやく学院も1点に泣く 歴史から脱却し、1点を堂々と守り抜く精神的な強さを身に付けてきた と言ってもいいのではないでしょうか。

 一方、打線も大きな変化が生まれています。学院の試合に多いのは、 どうして、なぜ打たない…というもどかしさ。早いカウントで放って くる甘い球を見逃し、追い込まれてから半端なスイングで打ち取られ るというシーンを何度となく見てきました。それがこの2戦を見る限り、 上位下位関係なくしっかりと振り抜く打線になりました。木田監督は 「空中戦になったら敵わない」と謙遜しますが、下位打者でもあわや スタンドか!というライトオーバーの弾丸ライナーを打つなど、個々 の選手の打球が去年とは明らかに違います。"春は投手力"−攻撃陣は 生きた球を実戦でまだ多くは打っていませんからどうしても振りは 鈍く投手が有利ですが、各選手の意識が強い打球を打つという点で まとまっていれば問題ありません。これに木田野球はバントやエンド ランなど小技も絡ませますので、相手からすれば非常に嫌なチームに 感じることでしょう。

 ここまで書くと期待は膨らむばかりですが、前号でもお伝えした 通り学院の環境は劣悪です。練習グランドの確保すら覚束なく、この 状況で一次予選を突破することが出来たこと自体快挙とも言えます。 これから始まる本大会も、4月3日(土)の初戦、日大桜丘戦から次の 都城東戦(第4シード)、その先も全く気が抜けない相手ばかりで、 木田監督にとっては落ち着かない日々だと思います。それだけに、 本大会は皆様のご声援をこれまで以上にお願いしたいのです。予選は 高尾の堀越球場でしたのでなかなか足をお運び頂けなかったかと 思いますが(それにもかかわらずお越し頂いた方々には野球部に 代わり心の底からお礼申し上げます。ありがとうございました。)、 これからはほとんどが神宮第二球場で、3回戦だけが駒沢球場です。 花見がてらでも構いません。毎回毎回でもう読み飽きたと仰る方も 多いかもしれませんが、やはり直接顔をお見せ頂くだけで首脳陣も 選手もこの上ない励みとなります。面倒だ、また今度、などと言わず、 どうか学院のために、後輩のために一歩踏み出して下さい。

 夏のシード権を獲得するには本大会で3試合勝たなければなりません。 ただそこまで進めばベスト16、帝京との対戦が実現する見込みです。 「(帝京の)伊藤投手の150キロを打とう」を合言葉に春季大会に臨んだ 学院、ぜひとも頑張ってほしいですが、それ以上に昨秋からの木田監督 の目指す野球が正しかったことを再認識し、「春は夏の大会への通過点 で、負けたところから夏の頂点までの差をどうやって詰めるかが肝心」 と監督自ら話す通り、最後は今夏栄冠を掴むためにこの春を有意義な ものとしてもらいたいと願います。ガンバレ!学院!!



2010.03.24
(文責:広崎正隆 S63卒)