千葉投手を援護出来ずに2010春終焉
〜夏に向けて課題が明らかに〜 2010/04/07





 歴史は繰り返したのか?今月3日、多くのOB会員、並びに関係者が見守る中、 学院の春季本大会初戦の日大桜丘戦が神宮第二球場で行われ、結果は0対1と、 四半世紀あまり前と同じスコアで敗れました。試合後の選手達の落ち込みぶりは まるで夏の大会が終わってしまったかのようで、それだけ彼らがこの大会に賭けて いたことを物語っています。

 木田監督は「自らの采配ミスが敗因」と率直に語りました。確かに、主戦の千葉 投手は立ち上がりからほぼ完璧な投球内容、被安打4でしたがまともなヒットは 失点した8回のレフト前くらい。この試合に限って言えば学院が先に1点取れば 勝てた内容でした。「1点の重みを改めて痛感しました」とも木田監督は話して いましたが、実際5回から8回まで4イニング連続で得点圏にランナーを出し、 どこかであと一本が出ていれば逆に大量得点もありえたと言えます。勝負事に"たら れば"は禁物とはいえ、好投していた千葉投手を打線が援護してやれなかったことに スタンドで観戦された皆さんは無念さを滲ませていました。

 しかし、それにしても学院の攻撃はフライアウトが13、盗塁は4回試みて実に 3回失敗ともう少し工夫がなかったのか、お粗末と言ってしまえばそれまでですが 残念です。相手投手はかなり速度を抑えたカーブかスライダーが武器の右のスリー クォーター、試合前のシートノックを見ると相手捕手の肩も弱かったため、走らせ たいとベンチサイドが考えることは理解出来ました。ただ、まだ選手達が走力も さることながらリード面やスタートの切り方も未熟だったことが誤算だったかも しれません。せめてエンドランという戦法はなかったか、という疑問も浮かびますが、 これだけポンポン打ち上げるとその作戦も取りづらいか…いずれにしても、バントも 多用し「コツコツ1点ずつ積み重ねていく野球」という、木田監督が目指してきた スタイルとは言えず、最後までペースを掴みきれませんでした。

 「春負けたところから夏の頂点までの差をどうやって詰めるか」、これは春季大会に 臨む前に木田監督が語っていた言葉です。この春はもともと通過点と位置付け、春勝つ ためのプログラムを組んでは来ませんでした。思いのほか早く負けてしまいましたが、 これからの3ヶ月間がまさに勝負です。幸い、一次予選2試合と本大会1試合を経験し、 千葉投手が安定感を増したことは大収穫です。左の特性を活かし、打者との間合いや 緩急付けた配球、牽制球の技などをさらに磨いていけば夏はどこを相手にしても十分 計算出来るはずです。また守備についても、予選の段階では非常に引き締まっていて 好プレーが続出していましたから、あとは日大桜丘戦のときのような魔が差す場面を 作らず、いかに集中力を高めていけるか、これも日々の練習で鍛えていかなければ なりません。

 一方攻撃面は、日大桜丘戦でも10安打放っており予選のときから好調さを維持して いました。しかし、チャンスでの一本が出ないということは、精神的な弱さもあると 言わざるを得ません。おまけにその桜丘戦では右打者はアウトコースに逃げる緩い 変化球を左肩が開いてこれでもかと振り回し、左打者も待ちきれずに引っ掛けてしまう ことが多々見受けられました。軟投派に弱いところが出てしまったわけですが、結局の ところスイングスピードが遅いため引き付けられない、そのため振り出しが早くなり 緩急付けられるとたちまちにやられてしまうのです。個々の選手がもっと素振りをする 基本的な訓練を徹底すること、これが大事ではないでしょうか。その上で、バントの 精度を高めることです。今回もスクイズ出来ず(外され気味ではありましたが結果2度 ファールに)打たせて凡退しました。得点力を上げるにはどうしても必要な戦法です から、決して疎かにしないことです。さらに、走塁技術も磨かねばなりません。学院 野球は伝統的にと言っても過言ではないくらい、毎年走塁が下手です。足の遅さは なかなか改善出来なくても、スタートを早くすること、判断を研ぎ澄ますことは繰り 返しの練習で身に付くものです。3ヶ月は長くもあり短くもあり、しかし意識して 取り組めば必ずやチームは変わります。潜在能力は誰もが認めるだけに、これからは その能力を顕在化すべく努力が求められます。首脳陣の手腕を期待します。

 そんな中、野球部に数人の新人が早くも入部して来ました。本格的に1年生が入って くるのはもうしばらく先ですが、ワセダで野球をやりたいと強い意欲を持った選手が、 入学前にいち早く野球部の門を叩いてきたのです。中学時代、全国大会にも出場した 経験を持つ選手らで、今後が非常に楽しみです。すでに木田監督は実践練習で起用し 何といきなり結果を残しました。3年生、2年生にとってはレギュラーポジションを 争う上で非常に脅威だと思います。ただ、チーム内で切磋琢磨することはすべてに おいてプラスですから、夏に向けてぜひとも先輩を脅かし、そして怪我をせずに成長 していってほしいと願います。

 学院の練習環境の酷さはこれまで何度も申し上げてきました。中学の部活動が始まる ことでそれがさらに悪化することは確実です。グランドなくしてどうやって甲子園を 目指すのか、木田監督、小関助監督にとっては心底頭の痛い問題だと思います。OB会 としましても選手の能力が高いだけに何とか出来ないか思案していますが、まだ妙案は ありません。選手達がモチベーションを高く持ち続けるためにも、普通に野球が出来る 環境作りはこれからも野球部とともに努力していきます。どうか皆様もいいアイディア 等ございましたら、ぜひ事務局までご連絡下さい。OB会が全力で野球部を支えて いければ、あとはこの春の経験を糧に頂点を目指して行くことが可能となるでしょう。 引き続きご支援をよろしくお願いします。



2010.04.07
(文責:広崎正隆 S63卒)