2010夏三回戦(vs都保谷)観戦記
〜勝ちを拾って、いよいよ山場突入!〜 2010/07/14





 初戦の緊張感、さらには並行した期末試験の疲労感、それらをすべて乗り越えて 迎えた3回戦は、都立の強豪「都保谷」が相手でした。が、終わってみれば6−2で 勝利、4回戦に駒を進めました。

 試合前のシートノックは初戦に比べて格段によく、主戦千葉投手も立ち上がりは 無難で、「チームの雰囲気はよくなってきた」(木田茂監督)の言葉通り、安心感や 安定感は確実に高まってきました。しかしながら、依然もどかしさが残ってしまう のも事実、観戦された関係者の皆さまもすっきりした感じを持てないまま球場を 後にされたのではないでしょうか。

 勝てば勝ったで課題は出るもの、もどかしさの原因は攻守ともに選手達の能力が まだ発揮しきれていないところです。まずは攻撃面。相手主戦投手は左腕、イメージ としては野茂投手のようにややトルネード気味の投法でしたが球威はなく、落差の あるドロップのようなカーブが武器のタイプでした。初回こそ、先頭の中谷選手が 「絶対に出塁しようと思っていました」と四球を選び、すかさず二盗、2番武居選手の 送りバントで三進しチャンス拡大。3番岸選手はスクイズを試みましたが外され、 「やられた」と思った瞬間相手捕手がそのウエストボールをハンブルし、本塁手前で 一度は止まった中谷選手が判断よく突っ込んで間一髪セーフ。なおも岸選手がセンター 前ヒット、4番玉置選手も三遊間を破って(一死1、3塁)再びチャンスを作り、続く 5番の菱倉選手がきっちり犠牲フライで2点目、二死となってこの回は終わりかと 思いきや6番柴田選手がセカンド右を抜くヒットでまた1、3塁。この場面で7番 森田選手が勝負強くセンターに抜けるタイムリーと、鮮やかな速攻で3点先制しました。

 しかし、気分良く見られたのはこの回だけ、と言ったら言い過ぎでしょうか。2回 途中からショートの選手が2番手として起用され、ここからもどかしさが始まりました。 2番手も球威はなく、サイドスローから繰り出される外角へのスライダーが得意球の ようでしたが、初回の攻めで気が緩んでしまったのか学院打線は皆大振りに。くるん くるんと振り回して相手の術中にはまってしまったのです。この手のタイプの攻略法は 右打者は右に、左打者は左へと逆方向に打っていくことが基本ですが、こうしたこと すらまだ出来ないのは今後の課題です。相手が2点差まで追い上げてきた6回、何とか 崩れずに踏みとどまり、逆に次の1点を学院が挙げたことが勝敗の分かれ目でしたが、 もう少しチーム全体が戦術を磨きさえすればコールドで勝っていてもおかしくはありま せんでした。「一戦ごとに成長していけるようなチームにしたい」(栗山雅史部長)の 話の通り、選手個々のポテンシャルは高いわけですからこれからその点と点が線となり 面となって総合力につながっていくことを期待しましょう。

 一方、守備については、冒頭にも書いたように千葉投手が序盤からまずまずの内容で 初戦に13安打した都保谷打線に立ちはだかりました。とはいえ、ネット裏で見ている 限りまだ6〜7分の出来具合。木田監督も、「エラーが出ても気持ちを切らすことなく 投げられたのは収穫だったが、バランスが悪いので決め球をファールされていた」と 冷静に分析、上位進出するためには絶好調時の球威や思い切りの良さを取り戻すことが 不可欠です。ただ、やはり選手にとっては"勝利"こそ最大の"良薬"、「勝って本当に うれしかったです。次はもっと安定感を増して勝負したいです」と、4回戦までの中 2日で何をすべきかは理解しているらしく、次の登板が非常に楽しみです。

 こうした中、珍しく内野の要である中谷選手が2つエラーしました。本人によれば 「硬くなってしまって消極的な動きでした。もっと積極的に次はいきたいです」と 反省しきり。守備のミスがバッティングにも影響してしまったと話する中谷選手ですが、 最後の打席はライトの頭を軽く超すダメ押しタイムリーを放ったことでかなり気分も 楽になったはず、元来グラブ捌きも定評あるだけに奮起を期待したいところです。 逆に好守備が光った選手もいました。センターの柴田選手。前後左右に飛んできた打球を ことごとく好捕、圧巻だったのは7回、先頭打者が放った難しいライナーを迷わず前進 してきて最後はスライディングキャッチ!苦しくなっていた千葉投手を救い、相手の 反撃の目を摘むとても大きなファインプレーでした。「スタートよく守れましたが、守備は いつもと変わりません。それよりもバッティングでもう少しチームに貢献したいです」( 柴田選手)と、謙虚な発言ながら自信に満ちた表情が印象的でした。

 このように、ざっと振り返っただけでもまだ粗削りな学院。しかし、一戦一戦確実に チームは成長を遂げていくことでしょうし、経験を重ねることで技術力も精神力も磨きが かかっていくはずです。次は第3シードの八王子を破った都国分寺戦で、徐々に山場 へと差し掛かっていきます。「練習試合では勝ったが、都昭和にも八王子にも勝ってきた 都国分寺はとても手ごわい相手。気を引き締めて、あくまでも"1点にこだわる"野球を 追求し、スクイズも織り交ぜながら戦う以外ない」(木田監督)、「チームの雰囲気は今まで にないほどいい状態です。最近の練習試合でも強豪校相手に接戦でものにしてきただけに ピンチには動じません」(小関智也助監督)、「都国分寺は波に乗っていると思いますが、 守りを固め少ないチャンスを生かし切るうちらしい野球をすれば勝てるはずです」(岸 主将)、思いは西東京の頂点に立つこと、指導者も選手も一丸となって戦い抜けば自ずと 活路は開けます。このまま"学院旋風"を巻き起こし、我々の悲願である甲子園出場へと 突き進もうではありませんか!次戦は17日(土)の午前10時、昭島球場です。どうか、 これまで以上の皆さまにお集まり頂き、声高に声援を送ってあげて下さい。何卒よろしく お願いします。



2010.07.14
(文責:広崎正隆 S63卒)