未だ見ぬ"頂き"への挑戦!
〜神宮決戦で学院旋風巻き起こせ!〜 2010/07/21





 この15年間で5回もベスト16入りしながら、その都度ベスト8の壁に跳ね返され 涙してきた我が学院野球部。今回そのもやもやした歴史に終止符を打った現役選手達の ことを心底誇らしく感じますし、選手を鍛え育て上げた木田茂監督(S50卒)始め 首脳陣の手腕については敬意を表します。

 しかし、ここまで来るのは決して平坦な道のりではありませんでした。新チームとして 迎えた昨秋の大会は関東一高相手に屈辱的な5回コールド負けを喫し、まさにどん底 状態でした。大会後に監督が松橋邦芳氏(S33卒)から今の木田氏へと代わり、「3年 間休職して監督業に専念する」(木田監督就任挨拶)という決意の下、OB会も一体と なってチームの立て直しに乗り出しました。ただ、劣悪なグランド環境に脆弱な財政と、 「二重三重の苦しみ」が追い打ちをかけます。先が見通せない、希望の光を見い出せない、 しばらくは長い長いトンネルに入りこんだようなものでした。

 そんな中、選手達と正面から向き合い一つ一つ課題を克服する木田監督の情熱、さらに コーチングスタッフに加わってくれた小関智也助監督(H21卒)や玉地秀光コーチ (H19卒)らの兄貴分的存在、こうした心と心の愚直な触れ合いが、選手達に欠けて いた"貪欲さ"を呼び覚ましていったのです。また、過去にないほど数多く強豪校との 練習試合をこなしたことで、次第にチームに自信と勇気、そして勝利への執念が植え 付けられました。「夏の大会への通過点」という位置付けで臨んだ春の大会で日大桜丘に 0−1で敗れたことも、選手達が飛躍的に成長を遂げる発奮材料となったと言って過言 ではありません。

 まさかこんな短期間にチームがここまで生まれ変わるとは、間近で見ていた私自身 驚いています。"高校生は1週間で変わる"、かつて監督として指導していた頃の私の 持論でもありましたが、しかしそれでもこのチームの"進化"には目を見張るものが あります。必ずしも超スーパースターがいるわけではありませんが、岸主将を筆頭に 個々の選手が自らの役割を自覚し、総合力で立派に"ベスト8"を勝ち取りました。 55年ぶりという偉業については「実感沸きません」(岸主将)という思いが素直な 感想でしょう。それはまさしく、彼らの目指すところが「西東京の頂点=甲子園出場」 であってベスト8も単なる通過点に過ぎないからこその言葉だとも言えます。

 とはいえ、明日から始まる神宮決戦は、学院野球部史上に残る歴史的な戦いです。 前日練習では仲間全員が最後に肩を組み、高らかに「都の西北」を合唱していました。 ここ数年、大会期間中には毎年行っている光景ではありますが、西東京で未だ高校 野球を続けられるわずか8校の一角である自負からか、威風堂々とした姿には見ている だけで惚れ惚れするものがありました。

 初戦の都秋留台戦で見せた緊張感や不安、次の都保谷戦でもまだ攻撃が噛み合わない もどかしさ、4回戦の都国分寺戦では最終回に追い上げられヒヤリとし試合後に号泣する 玉置選手、5回戦の都片倉戦では6回表の無死満塁の大ピンチを見事な連携プレーで しのいだナイン、それらだけではありませんが、どれもが目に焼き付いています。そして その1つ1つのプレーがまさに、「一戦一戦強く、逞しくなっていっている」(小関助監督) チームの象徴でもあるわけです。

 西東京は119校が参加しておりました。つまりは、この時点ですでに111校が姿を 消しているのです。残った学院以外の7校は、準々決勝の相手でもある東亜学園(第4 シード)、次の山の早実(第2シード)、創価(第4シード)、反対側の山である第1シード 日大鶴ケ丘、桜美林(第4シード)、日大三高(第4シード)、堀越(ノーシード)と、 いずれもが西東京の顔としてふさわしい実力も実績も兼ね備えたチームばかりです。この 中から26日にたった1校、代表が決まるわけです。

 これから始まる3試合、学院にとってはベスト4に行けば56年ぶり、決勝進出と なれば初。"開いた歴史の扉"がどこまで開き続けるか、もはや未知なるゾーンが目前 です。中学部が新設され、学院を取り巻く環境が大きく変わった今年、この記念すべき 年を最高の形でスタート切れたら、私達OB会員だけでなくあらゆる学院関係者にも 素晴らしい"花"を添えることとなります。一歩一歩、その階段を上っている学院戦士、 ベンチに入った20人だけでなく、チームを支えている3年生始め全部員が一つとなって 一戦必勝で目の前の敵に挑みます。まずは神宮の杜に"都の西北""紺碧の空""コンバッ トマーチ"、そして"早稲田の栄光"を木霊させ、栄冠を掴むためにぜひとも選手らを 後押ししてあげて下さい。神宮の杜から甲子園のアルプスへ、ノンストップで突き進む 学院野球部にどうかどうか皆様、心からのご声援を宜しくお願い致します。



2010.07.21
(文責:広崎正隆 S63卒)