2010年秋季東京都大会3回戦観戦記
〜意地と名誉を賭けた早明戦に勝利!〜 2010/10/16





 今夏の準決勝、早実との早早決戦がまだ記憶に新しい中、今度は明大明治との 東京六大学直系附属校対決が実現しました。木田茂監督(S50卒)が率いてから 学院野球部の歴史が次々変わっていきますが、その過程で学院関係者ならずとも 関心が強いと思われる対戦が行われることは、東京の高校野球界にも大いにプラスに なっているのではないかと思います。

 その高校版"早明戦"は秋季大会本大会のベスト8を賭けた大事な一戦の場で 巡ってきました。雨で順延となり、10月14日(木)と平日に、しかも江戸川球場 から昭島球場に舞台も変更されての試合となったため、本来なら意地と名誉を賭けて 両校の生徒が応援に集まりたかったでしょうが、スタンドには熱烈なOBやご父兄の 応援が中心と、予想よりは静かなる戦いとなりました。それでも、わざわざ球場に 足を運んで下さった皆様、本当にありがとうございました。

 学院の先発はこの日ももちろん小野投手。ブロック予選からすべてを一人で投げ 抜き、押しも押されもせぬエースの風格が漂ってきています。今夏エースとして君臨 した千葉投手の後釜として立派に成長し、学院の背番号1を継承しています。夏も そうでしたが試合を勝ちあがるにつれ自信が漲り、それが一球一球、そしてここぞの 場面で抑え切る精神力の強さにつながっています。この日も明治打線を相手に被安打3、 4対0完封シャットアウトでしたが、数字もさることながらゲームをしっかりと作り、 見ていても最後まで淡々と落ち着いた投球内容でした。

 一方、打線は木田監督が常々、「この代は打ち出すと止まらないほどよくつながる」と 話すほどの本領ぶりは発揮出来ていませんでした。7回の攻撃は追加点1点取ってなおも 二死1、2塁の場面、3番の永野選手が走者一掃の右中間タイムリー2塁打を放ち面目 躍如ではありましたが、それ以外はまだまだもどかしさの残る展開だったと言えます。 こういうときこそ足を使った攻めが必要で、実際エンドランなどでうまく相手守備陣形を 崩していく"木田マジック"はお見事です。しかし、肝心の走者が打球を瞬時に判断 出来ずスタートが遅れてしまうケースも多々見受けられたのも事実です。

 試合終了後木田監督は、「メイジを相手にする以上死ぬ気でやって、ワセダの名に恥じ ない戦いをしようと指示していた。小野(投手)が相手の攻撃をきっちりと抑えて自ら リズム崩すようなことがなかったのは収穫。ただし、ところどころサインの勘違いなども あって点を2〜3点は取り損ねた」と、前向き評価をする一方で反省点も指摘してくれ ました。確かに、スタンドで見ていてもあと3点は取れた印象はあります。

 準々決勝以降の戦いは特に、点を取れる局面で取れないというのは即ち敗北を意味 するも同然です。次は、国学院久我山が相手です。1年生ながら早くもプロが注目する という川口投手を擁し、これまで安定した戦いぶりを見せてきています。秋季大会が 現在の制度になってベスト8入りは学院史上初の快挙ですが、ここから先は1つ1つの プレーが来春のセンバツにつながります。グランドもまともにない練習環境とはいえ、 木田監督の教えを信じ、強豪校に胸を借りた練習試合で足りない部分を補って作り上げて きた学院野球部。優秀な選手を集めることすら出来ない中でもここまでやれるという ことは、現代の高校野球界では極めて稀なことだと思います。しかし、相手も同じ 高校生、何も臆することなく堂々と学院野球でぶつかり、そして栄冠、悲願の甲子園を 勝ち取ってほしい、今こそ全OBが固唾を飲んで見守っています。

 ガンバレ!学院!!



2010.10.16
(文責:広崎正隆 S63卒)