2011年夏三回戦観戦記(vs 明大中野八王子戦)
〜早明戦制し、いざ神宮へ!〜 2011/07/23





 エンジが紫紺を制し、2年連続のベスト16! 東京六大学野球の高校版、明大中野八王子との"早明戦"対決は、 苦しみながらも接戦をものにした学院が見事勝利しました!!

 台風6号の影響で試合が3日間延期となり迎えた3回戦(7月22日)、昭島球場は 初戦の都武蔵丘に勝利した球場であり、何と言っても昨夏の学院快進撃の スタートとなった縁起のいい球場でもあります。しかし、明大中野八王子は 今大会注目の好投手水口投手を擁し、さらにはプロも注目している1番打者の 上西選手を始め打線も強力、前評判が高い上にこの10年間練習試合で一度も 勝ってない相手ということで学院にとっては甲子園を目指すためにどうしても 乗り越えなければならない関門でした。

 戦前木田監督は「練習試合と公式戦は別だが、前回(の練習試合で)大差で 負けているので何とか接戦に持ち込みたい。2−1とか3−1とか、うちが勝つ なら1点差2点差のゲームしかない」と話してましたが、その木田監督が大事 な一戦を託したのは主戦の小野投手ではなく2年生の田中投手。これまでも 数々の修羅場をくぐり抜けてきているだけに試合前のブルペンでも表情に 硬さは見られませんでしたが、今大会の先発は初めて。木田監督の思い切り ぶりには改めてあっと驚かされました。

 さて、肝心の試合内容ですが、先攻の学院が初回いきなり先頭の武居選手に ライト線ツーベースが出てベンチが盛り上がります。ペースをつかむかと 思いましたが、バント失敗もあり得点ならず。逆にちょっと嫌な空気が 漂いました。2回以降も水口投手の制球が定まらず再三四球をもらって チャンスを作りますが、あと一本が出ない・・・特に3回の攻撃では、3つの 四球で一死満塁となり4番、5番を迎えましたが、4番の赤川選手は三振、 5番の田中投手はライト線で走者一掃!と思った鋭い打球を放ったものの ファール、最後はピッチャーゴロに打ち取られチェンジ。スタンドの関係者は 皆一様にため息を漏らすばかりでした。ただ、この回だけでもかなりの球数を 放っただけに、水口投手の体力が落ちてくるであろう後半が勝負のヤマと 見られました。

 一方、田中投手は「5回まで持ってくれれば」(小関助監督)との首脳陣の 期待をいい意味で裏切る好投を続けます。3回表のチャンスを逸した裏の守りで、 一死1、3塁から3番打者に学院のお株を奪われる初球スクイズで先制されましたが、 その後も得点圏に走者は出すものの決定打は許さず、しっかりとゲームを 作りました。ただ残念だったのは、3回以外は相手を0点に抑えましたが、 三者凡退で切った回が5回、8回、最終回しかなく、守りからリズムを生みだしたい 木田野球にしてみればもう一段の成長が求められます。

 とはいえ、この試合はノーエラーとバックも田中投手を盛り立て相手に 隙を与えません。圧巻だったのは、途中からレフトに入った小野選手が、 逆転した直後の7回裏二死1、3塁の場面で、大きな飛球を一旦前進したあと背走、 最後は後ろ向きで高く上げたグローブにすっぽりと打球が収まり事なきを得た プレーです。抜けていれば再逆転されたのは間違いなかったですから、勝負を 分けた大(ファイン?)プレーでした!

 ところで、木田監督に「今日は小野さまさまだね」と言わしめたのは そのプレーだけではありません。2打席連続三振だった4番の赤川選手に 替えて6回表に代打で登場した途端三遊間のヒット、次の7回表には四球も 絡んで得た二死満塁でカウント1ボール2ストライクから見事セカンド右を 抜くライト前2点タイムリー!これが決勝打となったのです。後半勝負と 読んだかどうかはともかく、チャンスで一本が出ずに重い1点を追いかける 展開の中、十二分に期待に応えてくれました!!

 最終回、田中投手の球威はさらに増し、最後のバッターを3球三振で 締めたのですが、そのバッターが上西選手だったというのも面白い巡り 合わせでした。ちなみに上西選手には5打席中2四球、1レフトフライ、 2三振と、田中投手は完全に封じ込めました。四球2つというのも実は 木田監督が授けた作戦で、田中投手もうまく術中にはめたと言えます。 5回まで持てばいいと考えられていたところ結局1失点完投と嬉しい誤算 だったのは、今後の戦いに於いて田中投手の自信にもなったでしょうし、 主戦の小野投手にもいい刺激になったに違いありません。

 結局2−1という僅差の勝利、木田監督が予言していた通りでした。 試合前のシートノックや、実際のプレー自体見ている限りでは明大中野 八王子の方が個々の動きは良かったですが、「勝った方が強い」という 言葉にあるように、素直にこの勝利を喜び讃えましょう!残塁が多かった のもある意味WASEDA野球ですし、後半淡泊(?)になった印象を 受けた相手もMEIJI野球とも言えますし、双方それぞれ大学の カラーを出し尽くした一戦だったと言えます。

 さあ、いよいよ今度は神宮球場での工学院戦、4回戦です。2年連続での 神宮球場、そして勝てばベスト8と、いやが上にもボルテージは上がって 参りました。その試合は日曜日(24日)ですので、一人でも多くのOBの皆様に 足を運んで頂き、エンジの熱い熱い応援をお願いしたいところです。 昨夏の興奮が再び蘇り、西東京に学院ありと誰にも思わせる後輩達の雄姿を どうか直接ご自身の目でご覧になって下さい。神宮球場でお待ち申し上げております! なお、3回戦も昭島球場までお越し頂きましたOB始め関係者の皆様、本当にありがとうございました。



2011.07.23
(文責:広崎正隆 S63卒)