2011年夏準々決勝観戦記(vs 日大鶴ヶ丘)
〜流した汗はうそをつかない〜 2011/07/31





 2年連続のベスト4進出をかけた対日大鶴ヶ丘戦は、前半は必死に粘って 接戦に持ち込んだものの最終回に突き放され2対8で敗れてしまいました。

 木田監督はこの試合の先発を2年生田中投手に託しました。田中君は 明中八王子戦での好投もあり、夏の大会も非常に安定している実績を かったのではないかと思います。日大鶴ヶ丘は140km以上の速球と 鋭く曲がるスライダーを武器にするエース岡投手がおり、学院としては 工学院戦みたいに大量得点は期待できない為、ロースコアでの接戦に 持ち込むというプランでした。

 日大鶴ヶ丘の先攻で始まったこの試合、初回に早くもピンチが訪れます。 先頭バッターにライト線の2塁打を打たれ、2番に送りバント3番にはいい 当たりではなかったものの、しぶとく2遊間を抜かれて、早々に先制点を 奪われてしまいます。2回にも先頭に四球を与えてしまい、送りバント、 1番にタイムリーと学院がやりたい野球を日大鶴ヶ丘にやられてしまいました。

 しかし、このまま失点を重ねていかない強さが今年のチームには ありました。田中投手は1塁にランナーが出ても、ランナーを釘つけに して鶴ヶ丘に攻撃をさせませんでした。投球だけでなく牽制の上手さが 最小失点で乗り切れた一つのポイントであったと思います。3回には 1塁ランナーを牽制で刺し、その裏の攻撃へとつながりました。

 学院の攻撃は初回2番山片選手がきれいに1,2塁間を抜くヒット! 惜しくもバントで送れず三振ゲッツーとなってしまいましたが、 岡投手の決め球縦スライダーをじっくり見極め、チャンスを作っていきます。

 そして3回裏、先頭の8番高山選手が粘って死球で出塁。9番高野選手が 初球をきれいに送りバント成功。武居選手が四球を選び岡投手を追い詰めていきます。 2番山片選手の打球はハーフライナーでサードのエラーを誘い1死満塁の 大チャンスを作ります。3番上野選手が外角のスライダーを良く見極め 押し出しで1点。ここで、木田監督は4番赤川選手に小野選手を代打に起用。 誰もが名八戦の再現を期待しましたが、残念ながら三振。 続く田中選手も連続三振と同点に追いつくことはできませんでした。

 しかし、続く4回に6番永野選手が四球を選ぶと、2死2塁のチャンスで 9番高野選手のセンター前タイムリーヒットで2対2の同点に追いつきます。 好投手岡投手が相手であったので、2点差を追いつくことは難しいと考えて おりましたが、そんなOBの考えを選手達ははるかに超えて、良くボールを 見極め四球を選び、数少ない失投を逃さずコンパクトに打っていき、 ゲームプラン通りの試合展開に持ち込んでいきます。

 しかし、6回表一死3塁のピンチで、ファーストゴロを高野選手がホームで 刺し切り抜けたと思ったのですが、相手ピッチャーにタイムリーを打たれて しまい勝ち越しを許してしまいます。この回のヒットは田中投手が上手く 芯を外していたのですが、不運な事に野手のいないところに全て落ちて いってしまいました。それでも田中投手の踏ん張りで最小失点でしのぎ、 スタンドでもまだ逆転できるという雰囲気が球場全体に広がっていました。

 7回2死から武居選手が内野安打で出塁し、今日タイミングが一番 合っていた山片選手に打順が回ってきました。追いつくには武居選手の 盗塁しかないと誰もが思った2球目に、見事に武居選手が盗塁を決めて チャンスを広げます。しかし、山片選手は外角のストレートに三振。 追いつく最大のチャンスを逃してしまいます。8回からは疲れの見えた 田中投手から小野投手へのリレー。この回も相手ピッチャーに タイムリーを打たれ2対4。9回にも4点を追加されて万事休すとなって しまいました。

 結果的に6回相手ピッチャーに勝ち越しタイムリーを打たせてしまった事が、 この試合の流れを決めてしまい、最終的には点差は開いてしまいましたが、 最後までどちらに勝利の女神が微笑むか分からない拮抗した試合でした。

 試合後、木田監督が選手達へかけた言葉は感謝の言葉でした。 「今年のチームは前年のベスト4という実績を背負いプレッシャーを 感じてのスタート。それでも秋の大会でベスト8に入り、夏の大会も ベスト8まで連れて来てくれた。3年生には本当に感謝している。 ありがとう!これから甲子園に行く為に、私ももっと勝つ為の努力を していくので、後輩達を見守って欲しい」

 小関助監督からは「いろいろ大変な事があったけど、最後は皆が一つに なってここまでこれた。このチームを本当に誇りに思う」という言葉が ありました。

 最後に武居主将は「もっと皆と一緒に野球をやっていたかった」と 涙ながらに話をしてくれました。

 今年のチームも去年同様、守備からリズムを作り1点を大事にする 学院野球で、1試合毎に成長しまとまっていくすばらしいチームでした。 それでも夢である甲子園には今年も手が届きませんでした。しかし 3年生の涙・悔しさを2年生と1年生が必ず受け継いでくれます。 9月に始まる秋の大会に向けて、新チームは試合翌日から既に動き始めました。 この悔しさを忘れずに秋の大会でも学院旋風を巻き起こしてくれる事でしょう。

 3年生の選手諸君、今年も感動と夢をありがとう。

 最後に、つたない文書でOBの皆様にはご迷惑をお掛けしましたが、 お付き合いいただきありがとうございました。これからも学院野球部を 宜しくお願い致します。



2011.07.31
(文責:三好哲雄 H5卒)