Vol.113 平成26年度 夏の大会三回戦 vs佼成学園 2014/07/16




 夏本番といっていいほどの暑さと梅雨の影響が少し残る蒸し暑さの中、早大学院と佼成学園の試合は行われた。

 先発投手は、エースの新田。大事な一戦は彼に託された。

 一回表、相手の先頭打者はプロ5球団が視察していた強打者。積極的に振ってくる相手をスライダーでかわし、 レフトフライに抑えた。しかし、2番打者にヒットを打たれると、3番にはヒットエンドランを決められ 一死一、三塁となってしまう。そして、4番のショートゴロの間に先制され、続く5番に右中間を破られて エラーも絡み、一回に4点のビハインド。いきなりの劣勢となってしまった。

 しかし、投手の立ち上がりが難しいのはお互いのことで、一回裏の学院の攻撃も、1番の菊池がヒットで出塁すると 青木は進塁打で2番の仕事をきっちりとこなし、3番小菅、4番中村の連続ヒットで1点を返す。野球というものは 不思議なスポーツで、リードしていても選手は緊張してしまうもの。相手にもエラーがでて、学院も一死満塁の チャンスを迎える。しかし、6番勝本、7番小野寺を浅いフライとセカンドゴロに打ち取られ、結局この回は1点止まり。

 一回が終わり、多くの観客は乱打戦となることも予想しただろう。なぜなら一回の攻防ですでに両チーム 合わせて8本のヒットが出ていたからである。

 ところが、これまた野球の面白いところで試合が一度膠着してしまうと、なかなか動かないものである。 二回、三回とお互いランナーを出すも、攻め手を欠き無得点。学院にとっては嫌な流れとなってしまう。

 それでも、四回表はエース新田がこの試合初めて相手の攻撃を三者凡退に抑え、流れを学院に引き寄せる。 四回裏の先頭打者小野寺がセンター前ヒット、永木がしっかりと送りバントを決め一死二塁とチャンスを迎える。 打席にはミート力の高いショート佐野。芯でとらえた打球は・・・不運なことにライトの正面。そして、一気に ホームまで返ってくる気で走っていた小野寺が戻りきれずゲッツー・・・。学院は流れをつかむことがあと一歩のところでできなかった。

 サインミスはもちろんのこと、走塁ミスなど、ミスをしてしまった次の回というものは必ずピンチが訪れる。 先頭打者が三遊間に打った球を佐野が上手くさばいたが、一塁に悪送球し、バッターランナーは二塁へ進む。 さらに、次打者にはショートとレフトの間にポトリと落ちる不運なヒットを打たれ、無死一、三塁の大ピンチ。 追加の失点は学院にとって致命的になりかねない場面で、エースの新田が立ちはだかった。 佼成学園の3番、4番、5番打者に対し、切れのある球で際どいコースにズバズバ投げ込み、三者三振の圧巻なピッチング。 思わず立ち上がってガッツポーズをしてしまうほどの完璧な投球であった。

 この新田の素晴らしいピッチングに応えたい打線であったが、五回、六回は点が取れず、ようやく七回に ツーアウトから菊池のレフト前ヒット、青木の四球で、2死一、二塁のチャンスを作り、3番小菅に大きな 期待がかかったが、残念ながらフライアウトで無得点。追撃の芽がつまれてしまう。

 ノッテきた新田のピッチングに佼成学園の打線はチャンスを作れなかったが、学院打線も相手の投手に 最後まで抑えられ、ゲームセット。今年の暑い夏はここで終わりとなった。

 皮肉なことに昨年の負けた日と同じ日に菊池の代は引退することになってしまった。 しかし、彼らは自分たちの力を出し切ることができたと思う。負ければ必ず悔いは残るが、 これまでの努力に胸を張って、次の道に進んでほしい。

 チャンスで結果が出せなかった二年生は、試合後、三年生よりも多くの涙を流していた。 彼らはきっと厳しい練習を乗り越えて、秋、そして来年の夏に、良い結果を出してくれる ことでしょう。期待したい。

 がんばれ、学院!



2014.07.16
(文責:崔毅夫 H26卒)