Vol.149 平成30年夏の大会3回戦 vs早稲田実業 2018/07/15




 夏を思わせる猛暑の中、八王子市民球場で早実との試合は行われた。スタンドは注目の早早戦ということもあり、 高校野球ファンで埋まり、外野席も解放された。3回戦とは思えない熱気の中試合は始まった。

 早実の先発は背番号10の伊藤で、2年生ながら140キロを超えるストレートを持つ、本格派の好投手だ。 一方学院の先発は、今大会初登板のエース佐竹であった。木田茂監督は試合前、「序盤をリードした 状態で終え、早実を焦らせることが出来れば勝機はある。」と語っていたが、試合は学院にとって 理想の形で進むこととなった。

 まずは1回表、佐竹(3年)がテンポ良く無失点で切り抜けると、1回裏、学院打線が立ち上がり制球が 定まらず、不安定な伊藤に襲いかかる。まず、先頭の木屋(3年)が四球で出塁し、前の試合で2本の 本塁打を放った2番八巻が左安打でつなぎ、無死一、二塁とし、その後3番岡原(2年)が確実に送り バントを決め、初回からいきなりビックチャンスを作ることに成功する。この絶好の先制のチャンスに、 キャプテンで4番の笹隈(3年)が痛烈な右前適時打を放ち、学院は2点を先制する。その後相手のエラー で得点圏にランナーを進め、6番佐竹の自らを援護する右前適時打でさらに1点を追加、 なおもチャンスが続いたが後続が打ち取られ、初回の得点は3点となった。

 3点のリードをもらった佐竹はテンポ良く低めにストレート、スライダーを投げわけ、早実相手に 堂々たる投球を披露。序盤は強力な早実打線を無失点に抑えこむ。一方早実は立ち上がりから 不安定な投球が続いた伊藤に代えてエースの雪山を投入。学院打線は雪山の質の高いストレートと 精度の高い変化球に手を焼き、2回以降は無失点に抑えられる。

 序盤を3-0のリードで終え、中盤に突入したこの試合が動いたのは4回だった。4回表、一死から エラーで走者を出し、ここで5番打者にフェンス直撃の適時二塁打を浴び1点を失い、さらに続く 6番にも左前適時打を打たれ、2点目を奪われた。さらにその後盗塁でピンチを招くも、ここは 佐竹が踏ん張りなんとかリードを守った。

 この2点が早実に余裕を与えたのか、4回からは徐々に早実に流れが傾いていく。続く5回も、 先頭の四球を足がかりに一死二塁と攻めたてられる。しかし、続く打者のセンターに抜けるかと いう打球を甲崎(2年)がダイビングキャッチで補球する。一塁は間に合わずセーフとなって しまったが、二塁ランナーをホームに返さない。

 その後佐竹は気持ちのこもったボールで相手打線に決定打を打たせず、同点を許さなかった。 6回、7回も佐竹は得点圏に走者を進められ、苦しい投球が続くも、なんとか要所を締め無失点で 切り抜ける。

 佐竹の粘投に応えたい打線だが、3回以降は早実のエース雪山に対し、4-7回は1人のランナーも 出すことができず、完璧に抑え込まれた。

 そして学院の1点リードのまま、試合は8、9回を残すのみとなった。再び試合が動いたのは8回表だ。 早実先頭の4番野村に四球を与え、絶体絶命のピンチと思われたが、盗塁の際に三振した打者が 守備妨害を犯し、走者もアウトになり無死一塁が一転、二死走者なしとなった。しかし、ここで 終わらないのが早実が甲子園常連校である所以である。二死走者なしから6番が左安打、さらに続く 打者がエラーで出塁し、二死一、二塁のピンチを招く。そして8番、9番と連続で適時打を浴び、 3-4と逆転を許してしまう。その後、エラーが絡みさらに1点を失い学院は一転、窮地に立たされる。

 8回裏も、先頭の八巻が左安打で出塁しチャンスメイクするが、後続が続かず無得点に終わる。 なんとか最終回、早実の攻撃を無失点に抑え、裏の攻撃に望みを繋ぎたい学院だったが、先頭を エラーで出塁させた後、2本の短長打を打たれ、学院にとって致命的な2点を追加される。 ここで力投の佐竹に代えて背番号10の友貞(2年)をマウンドに送ったが、友貞も一度流れに乗った 早実打線を止めることができず、2本の本塁打を浴びるなど一死も取れずにマウンドを降りることと なってしまう。その後再びライトに入っていた佐竹がマウンドに上がり、後続は打ち取り無失点に抑えた。

 結局9回に6点を追加され、とどめを刺される形になってしまった。なんとか最終回意地を 見せたい学院打線だったが、先頭、中安打で出塁した佐竹を活かすことができずに無得点。終わって みれば3-11と大差の試合となってしまった。

 8回二死までは3-2でリードするなど、点差ほどに完敗といったような試合ではなかった。 佐竹が粘りの投球で試合を作り、リードした状態で終盤を迎える学院にとっては理想的な 展開で、勝てるチャンスがあっただけに本当に悔しい敗戦となってしまった。  選手たちは良くやったと思う。エースの雪山を引きずり出し、雪山から点は取れなかったが、 早実相手に8回まで互角に渡り合えたことは賞賛に値する。私が現役の時に早実と当たった時は 初回から得点を重ねられ、コールドで敗れ、正直早実に対しての勝ち方がイメージ出来なかった。

 この試合では、早実の背中は確実に手の届くところまで来ていた。負けはしたが、確実に 実力差は縮まってきていると私は感じた。今年のチームは秋、春と思ったような成績が残せず、 例年より期待値が高いとは言えないチームではあったが、夏の大会では本当に成長した姿を見せて くれたと思う。

 1回戦、2回戦は両方とも5回コールド勝ち、特に2回戦では4本のホームランが飛び出すなど、 秋、春、そして夏と試合を重ねる度にチームとして完成度が上がっていき、 早実を追い込むまでのチームに成長した。

 後一歩のところでミスが出て負けてしまったが、今日の試合は去年の秋、国士舘にコールド 負けしたチームと同じチームがした試合とは思えない試合であった。監督に何を言われても くじけず、腐らず、自分から何をすべきか考え、練習してきた成果がこの夏大会で遺憾無く 発揮されたと、私は思う。

 しかし、随所に詰めの甘さが出てしまったのも事実だ。学院はグラウンドが人工芝であるため、 守備の精度を上げるのは難しく、練習時間も少ないので自ずとノックを受ける球数も限られてくる。 1、2年生には、その中でどのようにすればエラーが少なくなるのかを考え、練習に取り組んで ほしいと思う。

 学院が早実のような強豪校に練習の量で勝るのは事実上不可能なので、バッティング練習の一球、 ノックの一球に集中して取り組み、練習の質を上げていかなければ強豪校に追いつくことは できないであろう。

 1、2年生は今日の試合で、1アウトを取る難しさ、一球の重みを感じることが出来たと思う。 この負けを無駄にすることなく今後に活かして欲しいと思う。

 3年生の選手達、本当にお疲れ様でした!

 秋大会に向けて頑張れ!学院野球部!!



2018.07.15
(文責:後藤大青 H29卒)